経営コンサルタント 水野 陽一朗
課題は各事業者によってまちまちなのですが、「価値を表現する」ところが苦手な事業者が多いと感じています。自社の商品やサービスのこと自体を語ってはいるのですが、きちんと魅力を伝えるという部分が十分でなく、説明的になっているケースが見受けられます。また、魅力があるにも関わらず、磨ききれず原石のまま残ってしまっているケースもありますね。
いずれのケースも商品やサービス自体のポテンシャルはあるので、経営者や事業の担当者と対話しながら魅力を引き出すお手伝いをしています。具体的には、事業に携わる方々の思いとマーケットや消費者のニーズの両方を見て、それらが繋がるところを見出していく支援をしています。
本事業はスポーツのみならず観光、食品、ITなど幅広い業種の方々にお使いいただけると思いますが、どの業種というよりは、どのような組み合わせ方をするかがポイントだと思います。スポーツと他の産業を掛け合わせて、スポーツビジネス自体を発展させるパターンもあれば、逆に食品など他産業がスポーツを活用して新たな強みを発揮するというパターンもあります。そういう意味ではかなり柔軟に幅広い組み合わせが成立するのではないでしょうか。
やはり沖縄のビーチなどの自然環境、温暖な気候、地域の歴史・文化とも活用できますし、スポーツでいえばプロ野球などの定着しているプロスポーツキャンプや合宿自体も、ある意味地域資源と捉えていいと思います。私の印象だと沖縄の企業の中には、ものづくりにせよ何にせよ、「思い」を持って事業をしている方が多い気がします。例えばその人達の思いや気持ちと、ものを作る技術がマッチするとすごくいい価値、「モノとしての価値」と「コトとしての価値」が両立していくのではないかと。「思い」もスポーツの要素も「コトの価値」を持つストーリーとして、商品や事業に織り込んでいけると思います。
この事業をきかっけに、何か新しいビジネスが生み出されるというのも楽しみですし、何かを掛け合わる、他の事業者とコラボして一緒に取り組んで新しいものを作り出すということが、もっと当たり前になっていったらいいと思います。もちろん、自社の本業をしっかりやってそのビジネスを深めるというのは大切なことではあるのですが、それに少しプラスして拡がりのある新しいビジネスにチャレンジできれば、そのノウハウやそこで得た経験を本業に還元することもできます。それらの刺激が社内の活気としても循環するのではないでしょうか。